陰部にしこりができたときに疑われる主な病気をご紹介します。
バルトリン腺膿瘍
バルトリン腺とは、性的な興奮を得たときに分泌液を出すところです。バルトリン腺がつまって分泌液が皮膚の中にたまると、炎症が起きて赤みや腫れ、痛みが生じます。抗生剤を服用すると治ることがほとんどですが、まれに腫瘍を切開してたまった膿(うみ)を出すこともあります。腫瘍がくり返しできたり、大きくなりすぎたりした場合も、手術が行われる場合があります。
尖圭(せんけい)コンジローマ
ヒトパピローマウイルスの感染によってできる腫瘍で、性感染症の一種です。とがったイボ状の腫瘍ができるのが特徴で、腫瘍そのものにかゆみや痛みは生じません。しかし、腫瘍が膣内にできるため、分泌物の排出がスムーズにできず菌が繁殖しやすくなります。そのため、他の感染症を併発することも少なくありません。外科手術やレーザー手術、外用薬での治療を行うことで完治しますが、治りにくく再発しやすいのが特徴です。
外陰脂肪腫
外陰部などにできるやわらかい良性の腫瘍で、痛みはともないません。皮下脂肪の多いところにできる特徴があるため、汗腺や皮脂腺のつまりが原因と考えられています。気になる場合には、外科手術やレーザー治療によって除去することができます。
外陰がん
外陰部にできる腫瘍で、長引くかゆみや痛み、炎症が特徴です。閉経後に発症しやすく、悪化して潰瘍になることがあります。治療法は、がんの進行具合によって異なります。
毛嚢炎
毛根を包んでいる毛包(もうほう)という組織に、ブドウ球菌が感染して起こる皮膚病です。赤く盛り上がったブツブツができ、膿(うみ)をもつこともあります。皮膚表面に傷ができているとき、または、運動や生理などで下着の中が高温多湿になり、細菌が活発になると発症しやすい病気です。かゆみはほとんどなく、軽い痛みがある程度です。
症状を確認し、早めの婦人科受診を
陰部にしこりができたときには、形成外科や皮膚科、婦人科で診断や治療が受けられます。女性特有の病気に詳しい婦人科を受診するとよいでしょう。デリケートゾーンの診察は恥ずかしいかもしれませんが、悪性腫瘍の可能性もあるため放置しないでください。女性の医師も多いので、診察を受けやすい病院を探しておくとよいでしょう。
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