口内炎とは、口内の粘膜に生じる炎症のことを指します。口内炎は、主に口腔内の軟組織に生じますが、唇にできることもあります(口唇炎)。唇に口内炎ができる原因や、口内炎の種類、また、原因ごとにどのように対処すればいいかなどについてご説明します。
唇の外側に口内炎ができる原因
唇にできた湿疹や炎症は「口唇炎」、口角にできたものは「口角炎」と呼ばれます。口内炎の発症にはさまざまな要因が絡んでいるため、一般人には原因を特定しづらいですが、今回は、唇に口内炎ができる要因とされているものにしぼって紹介します。
唇の乾燥
唇が乾燥することで亀裂がはしり、皮がめくれます。亀裂や皮めくれは唇の口内炎で一番多くみられる症状です。日焼けや気候によって、唇の乾燥は進むので注意が必要です。
化学物質の刺激
化粧品や薬が体質的に合わないと、唇がかぶれたり炎症をおこしたりします。特に口紅は唇に直接塗るものなので自分に合うものを選ばなくてはいけません。人によっては特定の物質に対するアレルギーの可能性もあります。
紫外線
紫外線に当たることで唇の乾燥、腫れ、水ぶくれなどができたりします。日焼け止めを塗る、日陰ですごすなど、紫外線を避けると症状が落ち着くことが期待できます。
ウイルス
ヘルペスやカンジダといったウイルスに感染することで炎症をおこします。ヘルペスに感染した場合は水疱、カンジダに感染した場合は白っぽい苔のような炎症部位があらわれます。
歯の噛み合わせ
歯の噛み合わせが悪いと、いつも同じ部位を噛んでしまうため傷が生じ、そこから炎症がおこります。
ビタミン不足
ビタミンB2やB6が不足すると、唇やその周辺に炎症をおこすことがあります。
食べ物などによるアレルギー
歯磨き粉や食べ物、金属などが当たっても唇が炎症をおこすことがあります。この場合、アレルギーである可能性も考えられます。アレルギーによる口内炎(口唇炎)は、下唇の腫れといった特徴的な症状がみられます。アレルギーでない場合(食べ残しなど)は、唇を清潔にしておくことで症状が改善されることがあります。
唇にできやすい口内炎の種類と症状
口内炎にはいくつかの種類がありますが、唇の口内炎(口唇炎)にも多くの種類があります。
ウイルス性口内炎(口唇炎)
ウイルス性口内炎は、単純ヘルペスウイルスやコクサッキーウイルスA群といったウイルスに感染することで生じます。一般的にできるアフタ性口内炎とは異なり、赤くただれてびらんができるのが特徴です。ウイルスによっては斑点が生じることもあります。
アトピー性口唇炎
アトピーによる口唇炎で、乾燥、かさぶた、皮めくれなどを特徴とします。症状が進むと、色素沈着がおこることもあります。
剥離性口唇炎
乾燥やストレスによって、唇にかさぶたができ、はがれ落ちます。症状の特徴としてただれが強いこともあげられます。自分でかさぶたをはがしてしまったり、唇を舐めてしまったりと、なかなか症状が改善されないことがあります。
カタル性口内炎(口唇炎)
カタル性口内炎は、やけどや薬品の刺激によって生じます。はじめは水疱ができますが、すぐ潰れて潰瘍になります。痛みが長引くのが特徴です。
肉芽腫性口唇炎
食物や金属のアレルギーによって生じます。下唇が赤く腫れるのが特徴です。
唇に口内炎ができたら何科を受診する?
唇にできた口内炎の原因と種類について説明してきましたが、唇の口内炎は何科で治療できるのでしょうか。口腔内の口内炎だと歯科を受診する方が多いですが、口腔外科、皮膚科、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)、内科といった多くの診療科で治療できます。
唇の口内炎の治療方法
唇の口内炎の治療は、対症療法を中心に行われます。
保湿剤で唇を保湿
症状が軽い場合、ワセリンなどの保湿剤を塗布することで緩和されます。乾燥や皮めくれなどの症状が改善される可能性があります。
ステロイド剤で炎症を抑える
ジュクジュクとした炎症がおこっている場合、ステロイド剤を塗布することがあります。一時的に炎症を抑える効果が期待できます。
ビタミン製剤薬で栄養補助
ビタミン製剤の内服を行う場合もあります。体の中から改善するため、時間はかかりますが効果が期待できます。
唇に口内炎ができたときは、どのような原因で生じたのか理解することが大切です。日頃から唇に口内炎ができないように気をつけるのはもちろんですが、もし口内炎になってしまい症状が続くようでしたら、皮膚科や歯科で相談することをおすすめします。
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